仲屋風水デザイン
訪台目的のひとつ、故宮博物館を見に行く故宮博物館だけに限らず、古い文物を見る場合は、前準備があればより深く楽しめます。前準備とは、予備知識のこと。一体なぜ、どんな思いでこれを作ったのだろう?そこにはどういった価値を見いだしたのだろう?あまりにも古い物の場合、そういった想像力を働かせる助けになるのが前知識です。 分りやすく説明します。例えばコレ。 これは清朝時代の宝物。象牙を透かし彫りして作られています。 その精巧さ、真似できない技巧が「自分はお宝だよ!」と言っています。 ちなみにコレ、なんと3代かけて完成させたものです。時間と技術の粋をあわせた超絶技巧作品。 どう見ても明らかに素晴らしい象牙細工。これは前知識なしでも素晴らしさが分りやすい。 ところが、こんどはコレ。 青銅の器、このへんになると、もう人を選びはじめます。ぱっと見ただけではそのお宝度合いが一般的に分りにくく、コレにひかれる人は、先ほどの象牙細工よりも少なくなってくるかと思います。 感性というか、当時の時代背景や、人々が何を思って暮らしていたのかとか、神様に対する考えはどんなだったのだろうとか、色々と想像力が必要です。 そして、前知識があればそれらを補えますので、自分の中にあるお宝度合いを計るメーターがアップします。感動も大きくなります。 例えば、三本足の鼎(かなえ)。これは毛公(もうこう)という、西周の国王(2800年前)の叔父さんが作らせた器。三本足の鼎は神様に捧げるために作られた専用の器です。 西周の王様が、自分の国をほったらかしにして隣国に逃げ出すという大事件がありました。叔父さんである毛公に「後は任せた!」といって逐電したわけです。毛公はなんとか王の代わりに問題を乗り越え、王室を、ひいては国を守ることができたようです。そして、落ち着いてから神様に捧げる器を作らせ、ご先祖様のお陰で王室を守ることができたと、器に文字を彫って祭祀を行ないあの世に報告ました。その時の鼎(かなえ)です。この遺物、唯々わけの分らない文字が彫られているわけではなかったのですね。 と、このように、お宝は古ければ古いほど予備知識があれば楽しめるのです。毛公の話に限らず、なるべく専門家が調べ、いつの時代でどんな由来のものかをまとめ上げています。なんと便利な世の中なのだろうか。 ちなみに最初の写真の鼎(かなえ)の次、イボイボが付いているものは叩いて鳴らす楽器です。これも、位によって楽器の持てる数や音階に限りがありました。 そしそして、いつまでも長く響く鐘の音は、遠くあの世のご先祖様まで届けることができると考えられていました。 除夜の鐘が騒音でうるさいなどとクレームをつける今の世の中と比べれば、なんと大らかなことなのか。そんな風に考える人はごくわずかだとしても、あまりにも生き急ぎすぎてやしませんか?と嘆かわしくなってくる今日この頃です。 さて、食べ物を盛ったりするものを食器といいますね。先ほどの鼎は礼器といいます。神ごと用、ご先祖や神様への捧げものを入れる器です。そして音を鳴らすものは楽器。 器にも色んな種類があります。 水の入れ物は水器、酒のための入れ物は酒器、戦争に使う器は兵器・・・沢山あります。 器という呼び名は、すでに3800年ぐらい前にはあったという古い言葉なんですね。 故宮博物館という開かれた博物館 それを初めて知った時にはビックリしました。博物館なのに誰でも写真撮影OKだなんて。今は2018年4月、本当の話です。故宮博物館は、フラッシュこそ禁止ですが写真撮影はOKなのです。そんな博物館、名のある現代アートの美術館だって私はこれまで聞いたことがありません(私の勉強不足かもしれませんが)。実に開かれた博物館です。故宮博物館の門に描かれた言葉「天下為公(てんかをこうとなす)」の通りではありませんか。公(おおやけ)、つまり多くの人々のために天下はあるということ。ちなみにこの書をしたためたのは孫文(そんぶん)。故宮博物館に宝物を持ってきた台湾建国の父ですね。すごいなぁ! ちょっと故宮博物館と話がずれますが、感動したのが台湾ドルの高額紙幣。2000ドル札もあるそうですが、ほとんど流通していないので実質は1000ドル札が最高額の紙幣です。ここに描かれているイラストが、なんと子供達なんですね。地球儀を指さしています。一番大事にされる一番大きな金額のお金が子供達とは。何と素晴らしいお札なのか。お金儲けは汚いと考えてしまう人も、これを見ればお金に対する意識がすっかり良くなってしまうという技をもつ、魔法のお札ですね。 故宮博物館は、いつすいているのか?故宮博物館の名物といえば、おなじみの白菜と豚の角煮です。それから最初にご紹介した象牙細工。ネットで見ると、これらが展示されているブースは、いつも大混雑できちんと見られないといいます。はたして本当にいつも大混雑しているのか?実際に行ってみて分ったことがありました。 故宮博物館は、午前8時30分にオープンします。朝の7時半ごろにタクシーを拾って、ホテルから出かけました。朝一での入館は、それほど人が並んでおらず、白菜と角煮は3階の展示ブースにありますので、まずはそこから見に行きます。 9時頃には、団体客が定期的にやって来て混み出します。白菜と角煮も混みだします。ですが、これは波のようなもの。10分ほどでまた空き、しばらくすると別の団体客でまた混みだし、団体客がはけるとまた空くというパターンが何度が繰り返されます。 10時半頃、3階から2回に下り、お土産物屋さんを物色しました。 結果:平日は朝一に入館し、3階の白菜と角煮は混んでても午前中なら空く時間帯があるので、時折様子を見ながら別のブースを回るとよい。 と、いうことが分りました。結構な枚数の写真をパシャパシャと撮ったのですが、途中であまり意味が無いことに気がつきました。 なぜなら、最も美しい白菜と角煮の写真がこれ。 この写真、白菜と角煮のブースの壁に掛けられたボードの写真です。どうあがいてもコレよりも綺麗な写真は撮れません。 白菜と角煮は何枚も撮りましたが、結局この写真を撮ることで満足するという結論に到りました。プロが撮るわけですから、そりゃそうです。 結論:人は、美しい白菜や角煮の写真が撮りたいのではなく、写真におさめた自分に満足するために撮る。 それに気づいてからは、宝物の写真を撮ることに少し興ざめてしまい、それよりも目で見て感じたり想像したりすることに重きを置くようにしました。いつもと同じですね。とはいえ、自由にいつでも写真が撮れるのは、素晴らしいことですね。 興味が尽きない古い玉の宝物玉(ぎょく)といって、翡翠やアベンチュリンなどは尊い宝物とされています。現実的で実用性のあるものが大事にされる伝統の中国で、最も大事にされてきた玉のはじまりは、やはり道具としてでした。 器に使われながらも、玉は璧(へき)という形に加工されて宝物として珍重されました。 これはお金の代わり?高額紙幣に準ずるもの? お金が余りだすと、人はお金を出してもすぐには手に入らないものが欲しくなります。これは今も昔も同じ。ですが、この璧(へき)という形、一体どうしてこのような形に加工したのでしょう? 陰陽五行をやるときに、丸は天をあらわすと学びます。ですのでこれは天をあらわしたもの。天に通じるめったに見られない徳を備えた宝物=玉璧(ぎょくへき)というわけですね。 これ、風水の方術にも使えるんですよね。それにしても、一体なぜ真ん中に丸い穴をあけたのでしょう?これは想像力のいるところ。紐を通したり、持ち運びの時に便利という理由だけでは、真ん中に穴をあけないはずです。宝物の真ん中に、持ち運びに便利という理由だけで穴を開ける人は普通はいませんから。 玉壁の真ん中の穴から世界を覗いた時、一体何が見えるのか?色んな意味がありそうです。 謎を残しつつ、次のブースへ。 何を象徴している?数珠が伝えるもの同じ階の別のブースでは清朝の数珠シリーズがずらりと並んでいました。 3階は、玉といい数珠といい、なにやら呪術的な匂いのする階でした。実に興味深い。 清朝というのは、女真族(じょしんぞく)といって、ひとつ前の明という時代の支配層とは民族が違うのですね。明は漢民族、清は女真族。大陸支配後、女真族は満州民族に呼び名が変わります。 そうなのです、いつも漢民族が中国大陸を支配しているわけではないのですね。清しかり、元しかり。 弁髪(べんぱつ)という、カンフー時代劇に出てくる三つ編みのあの髪型、これは清になってからのこと。これをしないと死刑だったとか。 で、この時代の官僚や位の高い僧侶が身につけていた数珠がこれです。 古代中国は、科挙というとても競争率の高い試験があったことで有名です。清の時代も特にそう。一般の人が貧困から抜け出すひとつの方法です。彼らはマンダリンと西洋人に呼ばれていました。 「マンダリン」語義 中国では、隋王朝から科挙が実施されており、その競争は熾烈を極めた。科挙に及第する事は、歴代中華帝国において、低い出自から国務大臣級の地位を手にするほぼ唯一の手段だからである。受験者たちは、幼少の頃から科挙の試験科目(四書五経の暗記、詩作や歴史など)を頭に詰め込んだ。及第して官僚になった者たちは、科挙の試験科目に凝り固まって特権意識を振りかざし、民衆の生活に関る事柄を軽んじた。これは歴代王朝において何度も問題になってきた。 このような歴史からか、西洋では、公務員試験に合格する為に填め込み教育を受けている(その反面倫理や教養面でのバランスに欠けている)者や、硬直的で時代遅れの発想を振りかざす官僚を諷刺して「マンダリン」と呼ぶ。 参照:ウィキペディア「マンダリン」より どうも数珠にひかれてしまいます。これも風水術ではお守りに使えます。 玉が木製のもの、骨でできているもの、山珊瑚など玉をちりばめたものなど、様々です。 特に地面をさわる風水師は、土からの災いを避けるために、黒い石の数珠(108粒)に、木剣のペンダントトップが付いたものを持ちます。108粒は仏教から来た数字。煩悩の数ですね。霊は煩悩にひかれてやって来ますから、108種類の煩悩に一粒一粒対応させているのですね。木剣のペンダントトップは桃の木です。これは日本書紀にも書かれているように、土の災いを打ち消すためのもの。あの世にも通じるよう、しっかりと7つの点が彫り込まれています。風水師はすべて陰陽五行の理に沿ってものごとに対処したり、必要なアイテムを身につけています。 ちなみ後日、専門のお店で見つけたので何本か購入しました。進源書局という風水師御用達の書店です。台北に行かれる占い師さんや興味のある方は、ぜひ立ち寄ってみてください^^。書籍以外では、とくに羅盤が充実しています。 故宮博物館、敷地内のレストランへさて、故宮博物館では他にも様々な展示物を見ました。あっという間に時間が過ぎていきます。お腹が空いてきたので敷地内のレストランで昼食を採ることにしました。 実は、敷地内レストランは予約をしていくと中庭が見える少し良い席を用意してくれます。台湾チーム、美食への情熱は欠かしません。 今回、なぜ贅沢をしたのかというと、それには理由があります。 「折角なので、吉祥の食事を採りましょう!」と、国宝を見た後すぐに国宝を食べるという縁起の良い食事を提案したのでした。 そうです、翠玉白菜と肉形石を食べちゃいます。 こういった面白い体験ができるのは故宮博物館ならではです。 台湾チーム、国宝を食して吉祥をしっかりとその身に入れました。すでに運気が上がったような気分にひたります。 惜しむべきは、つい注文が過ぎてしまい、その場ですべて食べきることができなかったことです。お腹が限界で、残りは持ち帰って食べるために包んでもらいました。 なお、白菜と角煮は別で追加注文できますので、ご安心を。 台湾の食事は「小」でも量が結構多いので、注文する数に気をつけたほうが良いと気づきました。 食堂だと少なく、レストランだと多い傾向にあるようです。 おまけ:国宝の数々故宮博物館で、気になったものをいくつかピックアップしていきます。画像クリックで簡単な説明があります。 今回は、新石器時代から漢代ぐらいの玉(ぎょく)を中心に見ていきました。他の宝物は、ほとんど見ることはできませんでしたが、それでも数が多い!じっくり見るなら数日はかかります。 個人的には、精巧で完璧な工芸品のようなものより、表情や動きがコミカルな芸術品のようなものにどうしてもひかれてしまいます。
この後、いよいよ台湾の占いを試しに出かけることに! ・・・小神仙編へと続きます。 |
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