仲屋風水デザイン
10年ぶりに戻ってきた人の話これからする話は、風水の話でも、怖い話でもありません。むしろ、読みにくいちょっと変な話だと感じる人がいるかもしれません。内容の解釈は人それぞれですが、あらかじめ少々変わったスピ系の話であることを了承できる人だけにお勧めします。 スピ系の知人が10年ぶりに戻ってきました。 「今までどこに行っていたの?」と聞くと、行けるところまで行ってきたとのこと。まあ、宇宙とか神さまとか上の世界らしいです。曰く、これを言ってしまうとまずほとんど拒否されるんだけど、と前置きしつつ、発見したことがあるらしいと。 彼女(仮にAさんとします)は、元は私のお店の関係者。賢いので、どこまでも追及してしまう学究タイプの人。そういう人だからトコトン上を目指しちゃう。 「10年も上を目指し続けて、何を発見したんですか?」私はそう聞いた。 「この10年、色々あったねぇ。」と、Aさんはしみじみ言う。 「色んな人を除霊したり浄霊してきたよ。しまいには色んな場所まで浄めに日本中移動し続けた。霊能者とも色々組んだなあ。」 そう言ってからは、とりとめもなく雑談話があれこれ続く。マクロビや自然食、菜食主義もやめたこと。医療と代替医療について。今は薬や現代医療もそれほど批判しなくなったこと。相変わらず実に豊富な体験と知識。しかし、彼女はいつまで経っても発見したことを教えてくれない。 私はそれとなく話をうながすことにした。 「色々とスゴいですねえ。僕には無理だなあ。それで、何を発見したんですか?」 すると、Aさんは声のトーンを少し落とした。 「実はね、神さまとか上の連中って、どうも二種類しかいないみたいなんだよ」 「え?二種類?」ちょっと驚いて聞き返した。 「そう。二種類。八百万の神さまも他の(宗教の)神さまも、結局は二種類に分けられるんだよ。」Aさんは真顔だったので本気だった。 彼女は真面目な人だった。国内トップクラスの大学を出て、誰もが名前を知っているような大手企業に就職した人と言えば、おおよそ頭のキレと真面目さ、優秀さが想像できるかと思う。そんな彼女がスピリチュアルな世界に目覚め、のめり込んだ。仕事もさっさと辞めてしまった。辞めた理由が精神的に参ってしまったわけでもなさそうだったから、おそらく生半可な気持ちではダメだと決断したのだろう。普通ならあり得ない選択だ。それは彼女の性格、ものごとに真剣に取り組んでしまう性分を把握するのにピッタリのエピソードだと思う。 さて、私はAさんに、それら神さまとかの存在は、いったいどんな二種類なのかと聞いた。それから、いったいどうして奥歯にものがはさまったように、答えをはっきりと教えてくれないのかとも。 「いやぁ」しばらく間を開けてからAさんは話を続けてくれた。 「実はコレを発見してからはね、それを言っちゃうと霊能者とかスピ系の人らに距離をあけられるんだよ。・・・そりゃまぁ、ナカヤさんなら大丈夫だとは思うけど・・・ねぇ」 「たぶん大丈夫ですよ、知っているでしょう?」私はAさんにそう言った。そうなのだ。彼女はある程度、私を知っている。私は自分の想像力を超えた話に関しては、できるだけ判断を保留にすることを心がけている。なぜならそれは正しいとか間違いとかの問題ではなく、信義の問題なのだから。 自分の想像を超えた話。ひとつ例にあげれば、地球の地面が固くなったのは、たくさんの恐竜が踏み固めたせいだと本気で信じている人がいた。はたしてその話が嘘なのか本当なのか、私はいまだにその答えを保留にしている。それはどこだったかの新興宗教に入信していた人が私に教えてくれた内容だったが、当時はAさんもまだ私の近くにいた。 Aさんは言う。 「神さまはね、結局は宇宙人系か妖怪系に分かれているんだよ。どんなに偉い神さまでも」 「え?宇宙人か妖怪ですか?」私は聞く。 「そうなのよー。どんどん上を目指すとね、ホラ、アニメのドラゴンボールみたいに凄さがインフレを起こしていく。レベルもどんどん上がっていく。ゲームみたいにね。でもね、結局それはどんなことも人の欲が引き寄せた、人間にほぼゆかりのないモノなのよ」 Aさんは話を続けた。 「これは最初の頃、ある霊能者と組んでいた時の話なんだけど、ある河に黒い龍がいたことがあって、どうもそいつが悪さしている。その霊能者も自分はこの河を渡れないっていう。怖いからって。で、半年ぐらい鍛えてね、その龍を制御できるほど位の高い神さまを呼び出せるようになるでしょ。すると河も渡れる。レベルが上がっているのが2人とも分るから面白い。ところがね、きりがないんだよ。今度はもっとスゴイの、もっと偉いのってきりがなくなってくる。で、そのうちその霊能者も私から去って行く。たぶん限界を感じるんだね。次はもっとスゴイ人と組む。不思議と縁がつながるのね。で、一緒に鍛え続けていく。どんどんレベルを上げて行くでしょ。やっぱりきりがない。また去って行く。それでも、諦めずにそういうことを何度も何度も繰り返して、行くとこまで行ったら結局神さまは二種類、宇宙人系か妖怪系かってことに気づいちゃった。おおもとのね、神さまの親分の居場所みたいなのが何カ所かあって、そこに行くことができるようになるちょっと前に初めてわかったことなんだけどね。どうも地球にやって来てるのは子分なんだね。」 「いやそれはスゴイですね、それを10年?行くところまで行ったんですねぇ」と、彼女の粘り強い探究心とその根性にほとほと感心しながら聞き続ける。 「それでね、おおもとの所にいって話をつける。何で関係ないのにこっちに来させるの?こっちで迷惑しているから帰らせてくれって。するとね、向こうが言うには、こっちも好きで行かせてるんじゃない、そっちが呼ぶから仕方がないじゃないかって。そりゃ喜んで行くのもいるけど、たいていは何度も何度も呼ばれるから仕方なく使いを出すみたいなんだよね。で、歴史に例えればそういうのがやって来て聖地なんかにおさまるでしょ、土地にエネルギーがいっぱいあるから。そうすると、そういう存在に気づく人が必ずいて、あがめられる。夢で見させることもある。で、人からあがめられるとますます気持ちよくなるからいつまでもそこに居ついちゃう。あがめる人が増えて、やがてそれが宗教として広がっていく。時間が経つと、ひとつの文化とか文明に組み込まれるのね。大勢の無意識下に入り込んで揺るぎなく根強い存在となるの。力を持つのね。 で、そういう存在の親分との対話とか、さらにその親分とかを見に行く体験をするとね、感度や強さのレベルをひたすら上げ続けていた頃の自分を思い出してね、はっとしたんだね。自分もかつては呼びだしていたんだからね。そこまでしなくても、神頼みする人とか、お参りする人とかも普通にたくさんいるし、これからいなくなることもない。あぁこれはもう仕方ないことだなぁって」 それじゃあ一体何が一番なの?Aさんの話はとても新鮮だった。私は質問を続けた。
「それってちょっとなかなかできる体験じゃないですよ。言ったら怒られちゃうかも知れないけど、面白すぎますよ。それで、10年以上もそういったことを繰り返して、宇宙人系と妖怪系とに分かれることまで知ってしまって、結局あまり意味が無かったと分ってしまったんですよね。それじゃぁ、人が大切にする神さまというか、高次?の存在で、一番強いというか、一番良いのは何なんですか?こんな話を聞いてしまったあとじゃ、宇宙人とか、妖怪とか、神頼みする時もあんまり気が進まないですよ」 「そう。だからコレ言っちゃうとスピ系の人達から距離をあけられる。総スカン喰らうというか。どうも神さまに対して敬意がないと思われるんだよね。そんなことないのにね。でも仲良くなる人にはついつい話したくなるからねえ。誰かと組むというのはストレスになってしまったよ。それでね、人が一番大切にすると良い存在っていうのはね、実にシンプルでね」 「そうなんですね。究極の存在はシンプルなんですね」私はドキドキしながら、答えが聞きたくてたまらない。Aさんはますます慎重な顔をする。 「そう。シンプル。結局はね、究極の存在は自分のご先祖さまなんだよ」 「え?ご先祖さま?それってメッチャ普通じゃないですか?」 私はAさんの答えに逆に驚いてしまった。先祖を尊び敬うこと。それはあまりに当然すぎて、それじゃまるでメーテルリンクの青い鳥・・・。 「そうなんだよ。だから戻って来れたんだ」 Aさんは、ニヤリとしながらそう言った。 ・・・それにしてもこの10年、いったい彼女はどこまで見てしまったんだろう。 |
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