タオイスト入門「足りない時はゆっくりと」

9/27/2016

４２：１、２、３、そしてものごとの順番

タオはひとつのものを生み出す。

ひとつのものはふたつのものを生み出す。

ふたつのものはみっつめのものを生み出す。

みっつめはすべてを生み出す。

すべてのものは、背中に陰を背負ってふところに陽を抱く。それらが動き引き合い集まってなじみ、調和する。

人々が忌み嫌うこと、それはひとりぼっちで誰とも何のつながりもないこと。

ところが王と呼ばれる人は、孤独であることやつながりがないことを自分の呼び名としている。

それには理由がある。

「足りない」は「増える」を生み、「増えすぎる」なら「減ってしまう」を生む、それを知っているからこそ、そうしている。

これ以上減らないように自分を足りないものとしてそう呼んでいる。

人々が教えていることをわたしも教えることにする。

「凶暴な人はまともに死ねない」

私はこのことを師の教えとしている。

４３：柔らかさにならう

世の中でもっとも柔らかいものは、世の中でもっとも堅いものにも浸透する。

それは、柔らかいものは有るか無いかわからないほど微細なので、いくら堅いものがあってもその隙間に入りこんでしまうからだ。

そういったことから、私はまるで何もなさないかのような動きにこそ、もっとも得るものがあると知る。

もうひとつ、言葉を使わないで教えること。

このふたつは、世の中で他に比べるものがほとんどないほど大切なこと。

４４：自分を知るひとつの方法

名前と体ではどっちが大切か。

体と財産ではどっちが大切か。

得ることと失うことでは、どっちが心と体に悪いか。

そういうことを考えれば、こだわりや愛が深ければ深いほど、必ず大きく浪費してしまう。

また、大きく蓄えれば蓄えるほど、必ず損失も大きくなってしまう。

どのぐらいで満足できるのかを知ってしまえば、侮辱や屈辱を受けることもなく、どこで止めておくかを知ってしまえば、危険なことも避けられる。

そうすれば、長く繁栄し続けることができる。

４５：足りないように見えるもの

大きく成功するしくみを作り上げたとき、そこにはまるで何かが足りないように見えてしまう。

しかし、いくらそのしくみを利用したところで、しくみが壊れてしまうことはない。

大きく満ちたものは、まるで空っぽのように見えてしまう。

しかし、いくらそこから汲み出しても満ちたものが尽きることはない。

あまりに大きくて真っ直ぐなものは曲がっているようにも見え、

あまりに偉大な匠の作るものは稚拙なもののようにも見え、

すべての人を納得させることができるような人はぼそぼそと話しているようにも見える。

忙しくすれば寒さをのりこえ、静かにすれば熱さをのりこえられる。

自分を身ぎれいにし、心を静かにしておくことで、世の中で重要な立場ともなり、多くの人達の手本ともなる。

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